Research 研究内容

材料を構成する階層組織における
マルチスケール力学特性評価とその実験結果に基づく
結晶塑性有限要素解析の融合研究

材料のマクロな機械的性質は、結晶粒径や析出物など微視組織の機械的性質に依存しており、組織制御によって材料特性を向上させています。 したがって、このような微小レベルでの機械的性質を調べることが、新たな材料開発へとつながります。 本研究では、先端マグネシウム合金、チタン合金、ニッケル合金などについて微視構造レベルでの機械的性質評価ならびに変形・破壊機構の解明を行い、 さらに、結晶塑性有限要素法を用いた数値解析を実施することで、材料の機械的性質に及ぼす構成組織の影響について定量的かつ系統的な検討も行っています。 実験と数値解析の融合研究により、革新的な構造材料の開発および強靭化設計の指導原理の提案を目指しています。 このような研究を行っているのは、世界で本研究室だけで、その成果が大いに期待されています。

Ni基超合金601積層造形体
Ni基超合金601積層造形体

マイクロ材料特性評価技術を用いた
水素脆化挙動の解析

金属材料では、その優れた延性を犠牲にすることなく強度特性を改善することが、構造材料として使用する上での重要な課題の一つでありますが、材料の高強度化は水素脆化の感受性と密接に関係していることが指摘されています。高強度化はさまざまな機構が重畳して達成されているため、水素と格子欠陥の相互作用が強く反映される水素脆化現象の理解を難しくしています。本研究では、マイクロ引張試験技術を用いて、各構成組織要素単位で水素脆化挙動を観察することで、そのメカニズムの解明を目指しています。

参考資料(PDF/444KB)

マイクロ材料特性評価技術を用いた水素脆化挙動の解析
マイクロ材料特性評価技術を用いた水素脆化挙動の解析

先端鉄鋼材料を構成する組織の
マイクロスケール力学特性評価

鋼の高強度化において重要な組織であるラスマルテンサイトは、パケット、ブロック、サブブロック、ラスといった微細で複雑な階層構造を有しています。そのため、力学特性における各組織要素の役割については理解が十分になされていません。ラスマルテンサイトの構成組織からマイクロスケールの微小試験片を採取し、引張試験や疲労試験を行い、マルテンサイトの変形挙動に及ぼす組織要素の影響を調査することで、強靭化メカニズムの解明を目指しています。

極低炭素鋼ラスマルテンサイト
極低炭素鋼ラスマルテンサイト