研究内容

研究提案の要旨

 不均一組織を有する材料に着目し,その力学特性発現機構の解明を通して学理を構築した上で,機能マルチモーダル制御によるマグネシウム合金の力学特性多機能化に関する材料設計指導原理の確立をめざすとともに,その基盤技術を持って材料創製へ応用展開します。軟質相に硬質相を闇雲に分散させるといった古典的な材料設計から完全に脱却し,微視的領域やそれらの不連続境界のナノ力学機能および関連性を明確にするとともに力学機能のネットワークを精緻に設計することで,革新的なマクロ力学機能を実現する「機能マルチモーダル制御」に基づく材料設計へのパラダイムシフトを目指します。

 本研究では,α-Mg母相と極めて強い結晶塑性異方性を持つLPSO相からなるα-Mg/LPSO二相Mg-Zn-RE合金展伸材を研究対象として,不均一組織を有する材料における力学特性発現機構を解明し,その学理を構築した上で機能マルチモーダル制御によるMg合金の力学特性多機能化に関する指導原理を確立することを目的とします。目的達成のため,本研究では下記の三つの目標を掲げて研究を推進します。

  • 目標1 【学理構築】
    不均一系における弾塑性遷移・強度発現機構の解明
  • 目標2 【学理構築】
    不均一系における塑性不安定発現・局部損傷発生機構の解明
  • 目標3 【材料創製】
    力学機能創発につながる機能マルチモーダル制御技術の確立

離散的解析によるマルチモーダル組織を構成する各領域の単体力学特性の支配因子・作用機構に関する理解を基盤として,集団挙動と相互作用が重畳するマルチモーダル組織の力学特性発現機構を連続体的解析により統合的に理解します。不均一系における変形機構の基礎的知見を持って,金属材料全般に適用可能な「強靭化に有効な機能マルチモーダル制御のための学理」を構築し,材料創製に応用展開します。