プロジェクト

Projects

2007-2011 科学研究費補助金・基盤研究(S)

「材料磁気科学の新展開と実用材料技術への応用」 研究代表者
研究代表者 連川 貞弘  (熊本大学大学院自然科学研究科・教授)
研究分担者 粉川 博之  (東北大学大学院工学研究科・教授)
西田 稔   (九州大学大学院総合理工学研究院・教授)
井 誠一郎  (物質・材料研究機構・主任研究員)
研究期間 平成19年度~23年度

研究の概要等

 材料のさまざまな力学特性・機能特性は微細組織に著しく影響を受ける.材料に望みの特性を発現させるためには最適な微細組織を導入することが不可欠である.微細組織の制御方法として主に加工熱処理が用いられているが,さらに精密に微細組織を制御するためには,『磁場』などの外場作用の利用が有効であると期待される.これまでの研究により,磁場作用が再結晶,相変態,析出などさまざまな金属学的現象に対して興味ある影響を及ぼすことが見出されてきた.しかし,観察される磁場効果の起源については必ずしも明らかになっていない.“磁場効果”の起源について検討し理解するためには,固体内の拡散,界面・表面エネルギー,粒界磁気モーメント,相安定性などの基礎的物理現象に対する磁場の影響についての知見が不可欠であるが,このような基礎的現象と磁場との関連に関する研究は非常に少なく,決定的に基礎データが不足しているのが現状である.そこで本研究では,『材料磁気科学』の基礎を確立し学問体系を構築するために,上述したような物理現象に対する磁場の影響を明らかにすることを目的としている.さらに,“磁場効果・磁場機能”を実用材料技術へ応用展開するための先導的研究を行うことも目的としている.

当該研究から期待される成果

 電磁場材料プロセス工学の基盤となる『材料磁気科学』の基礎を確立することが今後のこの分野の発展の重要な鍵となる.これまで得られた研究成果を発展させ,磁場効果の起源を明らかにすることにより,材料磁気科学の深化と学問体系の構築に寄与することができ,経験的側面が強い電磁場プロセスに対する物理的原理を与えること期待される.また,電磁場材料プロセスは残念ながら工業的応用までほとんど至っていないのが現状であり,本研究では今後工業的展開が期待されるいくつかのテーマについて研究を行い工業化への道筋をつける.

当該研究課題と関連の深い論文・著書

  • H. Fujii, S. Tsurekawa, T. Matsuzaki and T. Watanabe: Evolution of a sharp {110} texture in microcrystalline Fe78Si9B13 during magnetic crystallization from the amorphous phase, Phil. Mag. Lett., 86 (2006), 113 ~ 122.
  • S. Tsurekawa, K. Okamoto, K. Kawahara and T. Watanabe: The Control of Grain Boundary Segregation and Segregation-Induced Brittleness in Iron by the Application of a Magnetic Field, J. Mater. Sci., 40 (2005), 895 ~ 901.

当該研究課題と関連の深い論文・著書