連川研究室(旧:材料組織・界面制御学研究室)とは
私たちの身の回りにある結晶性材料の多くは,多くの結晶粒から構成されている多結晶材料です. 結晶粒界は方位の異なる2つの結晶粒の境界であり,幾何学的な相対方位関係により結晶粒界の性格(構造)は多様に変化し,さまざまな粒界・界面物性が発現します. このような結晶粒同士の出会いによって,個性ある結晶粒界が生まれ,それらが多結晶材料全体の物性を支配することもしばしばあります.
例えば,しばらく新聞紙上に取り上げられていた原子炉における亀裂の発生は,多くの場合「応力腐食割れ」という現象が原因ですが,この現象は結晶粒界を優先的に伸展していくという特徴があります. これはナノメートルスケールで局所的に起こる現象が材料さらには構造物全体の性能・信頼性を支配するという典型的な例でしょう. しかし,ここで重要な点は,全ての結晶粒界が等しく同じ性質を示すとは限らず,ほとんど応力腐食割れをしない“個性”を有する粒界も存在するという事実です. また,クリーンエネルギー分野の代表格である多結晶シリコン太陽電池においても,結晶粒界は光―電気エネルギー変換効率を低下させる主因と一般には考えられていますが,必ずしも全ての結晶粒界が変換効率低下の原因となるとは限らないことが明らかになってきています. したがって,優れた機能・性能をもつ先端材料の開発のためには,結晶粒界の個性を生かして,材料の微細組織を積極的に設計・制御することが今後の重要な課題です.
本研究室では,粒界科学・工学(Interface Science and Engineering)を学理的研究基盤として,『材料物性(Property)-微細組織(Microstructure)-材料プロセス (Processing)』の密接な関連に基づいた研究を展開しています.
トピックス
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Shinya TAKETOMI, Toshiki TANIGUCHI, Hiroki YAMAMOTO, Seiya HAGIHARA, Sadahiro TSUREKAWA, Ryosuke MATSUMOTO
Effect of Hydrogen Concentration on Nanoindentation Softening and Hardening in Iron: Ferrite Phase of S25C and Single-crystal Fe-3wt.%Si -
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市村嘉健君(学部4年)が2024年3月25日に熊本大学工学部長表彰を受けました。