研究概要
Zr基およびHf基合金におけるマルテンサイト変態の発見と微細構造解析

長周期積層構造相のHAADF-STEM写真
Zr基およびHf基合金において,新たに発見した熱弾性・非熱弾性両方の特性を併せ持つ特異なマルテンサイト変態について,主に透過型電子顕微鏡(TEM)やXRD測定による微細構造解析を実施しています。なかでもⅣ族-Ⅹ族元素の組合せによる合金では,高温にマルテンサイト変態が存在するため,高温型形状記憶合金としての開発も行っています。
バルク金属から作り出すフレキシブル導電性第Ⅳ族系酸化物半導体の開発

Black-ZrO2の反射率と折鶴真
将来のエネルギー源や地球環境問題に取り組む上で,太陽光を利用する光エネルギー変換材料に関する研究が進められています。それら材料を開発する上で,照射する太陽光の紫外線(UV)だけでなく,可視光(VIS)領域まで利用するには,約1.5 eV程度の狭いバンドギャップを有する材料の開発が重要となります。我々の研究Gでは,簡便な大気中の熱処理による金属の酸化反応を利用して,エネルギーギャップの小さな可視光吸収型の酸化物半導体の開発を行っています。
巨大ひずみ加工による形状記憶合金の組織変化

Ti-Pd合金の透過型電子顕微鏡写真
高温型形状記憶合金として期待されるTi-Pd合金やTi-Pt合金,さらには低温にマルテンサイト変態を有するTi-Pd-Fe合金やZr-Co-Ni合金などに巨大ひずみ加工を施した際の組織変化について,シンクロトロンや透過型電子顕微鏡(TEM)を駆使して解析を行っています。また形状記憶・超弾性特性におよぼす変形組織の影響も調査することで,機能特性の向上に関する材料設計指針の確立を目指しています。 (本研究の一部は,公益財団法人 泉科学技術振興財団による助成の下で行っています。)
相変態を利用したB2型金属間化合物の高延性化

引張応力―ひずみ曲線

透過型電子顕微鏡写真
金属間化合物は高硬度かつ高温強度を有するため,科学技術の発展には必要不可欠な材料ですが,必然的に変形能に乏しく,常温では脆いという最大の欠点が存在します。そこで本研究グループでは,変形能を高める手法として相変態のなかでも特にマルテンサイト変態に着目し組織制御や適切な合金設計を行うことで,金属間化合物の高延性化を試みています。これまでにB2型ZrCo基金属間化合物において室温で約24%(最大冷間圧下率85%以上)もの極めて優れた延性を有する新規合金の開発に成功しています。