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炭素系ナノ物質の開発と物性解明に実験と理論で取り組む研究室です。

研究紹介information

炭素ナノ物質の新規合成法の開発

非平衡合成反応場を簡便に創出できる液面下化学気相合成法を開発することにより、準安定なナノ構造をもつ新奇炭素物質の創製に取り組んでいます。

液面下化学気相合成法では、底面を開放した合成容器の中に合成基板を納めて、合成容器内に不活性ガス(アルゴンなど)を満たしたまま有機液体中に沈めて、合成基板を加熱します。炭素原料は有機液体が輻射熱等で気化することにより合成基板に供給されます。合成容器壁面は常に有機液体で冷却されているため、合成容器内には数百度/cm程度の大きな温度勾配をもつ非平衡反応場が形成されます。


新規炭素ナノ物質の開発

上記の液面下化学気相合成装置を用いてつぼ形状をした新しい炭素ナノ物質の創製に成功し、その物質を「カーボンナノポット」と名づけました。カーボンナノポットはグラフェン層で構成されていることから安定性が高く、また内部のナノ空間のアスペクト比が高いことから奥行きの深いナノ容器として機能することが期待されます。つぼ形状の縮径部表面にはグラフェン端が局所的に密集しているのもカーボンナノポットの特徴であり、グラフェン端のヒドロキシル基修飾により両親媒性が発現する可能性があります。また、合成時はカーボンナノポットが連結して導電性のファイバーとして生成します。そのため、導電材料やセンサー材料、複合材料としての応用のほか、電気伝導特性自体に特異性が生じる可能性について検討を進めています。

カーボンナノポットの開発に関する論文は、2016年1月に米国材料学会(MRS)の学術雑誌Journal of Materials ResearchにInvited Feature Paperとして掲載されました。この論文は同年7月にカナダのリサーチ会社からKey Scientific Articleに選ばれました(詳細は熊本大学ホームページに掲載)。また、同月、熊本日日新聞にも掲載していただきました(『ナノサイズの「つぼ」作成』)。

所在地

〒860-8555
熊本県熊本市中央区黒髪2-39-1

熊本大学工学部研究棟I(黒髪南C3)

郵便物等宛先:熊本大学工学部マテリアル工学科